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魚沼基幹病院 救命救急・外傷センター
魚沼基幹病院 救命救急・外傷センター
救命センタースタッフが不定期、順不同で書き綴ります。

絶望から希望へ

人生は、いつだって残酷だ

がんばったって、報われることなんかほとんどない

病気や事故、死だっていつやってくるかわからない

 

まさかの死

夢途中の死

闘病の果ての死

 

多くの人は、心臓が止まって、その人生を終える

だが、まれに脳が先に死を迎える人がいる

 

脳死だ

 

脳卒中、頭部外傷、窒息など限られた場合に、心臓が動いたまま脳が死ぬ

法的脳死判定で脳死と診断されれば、回復の可能性はゼロだ

 

脳死下で心臓が拍動している状態であれば、腎臓の他にさらに心臓、肺、肝臓などが移植可能になる。

 

先日、魚沼基幹病院で、クモ膜下出血で入院中の60代男性Aさんに対して612例目の法的脳死判定がおこなわれた。

 

男性は書面による臓器提供の意思表示はなかったが、家族が承諾した。

 

法的脳死判定は2名の有資格医師よる厳格な検査を6時間以上空けて2回おこなわなければならない。

 

判定の2日後の未明から摘出術がおこなわれた。

 

心臓は東大

肺は東北大

肝臓は東大

腎臓は新大

角膜は新大

 

摘出された臓器は厳重にクーラーボックスに収められ、新幹線やクルマで各大学病院へ向けて出発。

Aさんの無念の死は各地の5名の待機者に希望の光を与えた。

 

心臓、肺、肝臓の待機者はそれこそ宝くじに当たるような確率のなか一日千秋の思いで、待っている。

臓器が自分のところに来なければ、確実に死がやってくるのだ。

 

当日のうちに各大学病院でおこなわれた移植手術は成功。

 

魚沼基幹病院での脳死下臓器提供は今回で4例目

魚沼基幹病院での件数は人口当たりでは、全国平均の6倍で、全国トップレベルだ。

 

絶望を希望へつなげるために、私たちスタッフが頑張った結果である。

決して偶然なんかじゃない。

これは私たちの誇りでもある。

 

そして、尊い決断をしていただいたAさんの家族に感謝。

 

人生は、いつだって残酷だ。

だからみなさんも話し合ってみて欲しい。もしもの時のことを。

 

救命救急センター医師 山口征吾