『山あり、ダニあり』〜マダニについて〜

救命センターブログ

救命救急センター医師の山口征吾です。

魚沼地方にも春がやってきて、どっとマダニに咬まれた人がやってきています。

 

今回はマダニについてのお話しです。

 

マダニは野山に生息し、春から秋にかけて活発に活動します。高さ1mほどの木の枝や葉などにくっついていて、動物や人間たちが通るのを待ち伏せしています。

人間が通ると、皮膚にくっつき、口を皮膚に突き刺し、血液を吸います。

 

体長は数mmですが、動物や人間の血液をお腹いっぱいになるまで吸うと、体がパンパンに膨れて体長は1~2cmにもなることがあります。吸血の時間は長いと10日以上にも及ぶことがあります。

 

刺されたところは、ほとんど痛みやかゆみもなく、気が付かないことも多いです。山に行くときはなるだけ皮膚の露出を少なくする服装にした方がよいです。

 

山から帰ってきたら、なるだけ早めにシャワーを浴びる、入浴をするなどで、早期に発見できます。

 

もしもマダニに咬まれていたら、すぐに自分で取ろうとしないで、医療機関で取ってもらった方がよいです。無理にとると、マダニの口の部分が皮膚に残ってしまい、感染を起こすことがあります。

 

魚沼基幹病院ではチック ツイスターという便利な器具を使用しています。小さいくぎ抜きと考えてください。写真はイメージですが、マダニをはさんで、くるくると回しながら、ゆっくり引っ張ると、きれいに取れます。病院によっては、初めから皮膚切開などで取っているところもありますが、この器具を利用すると患者さんの負担は、とても小さくなります。

 

取ったマダニは新潟大学に運んで、病原体をもっているか研究に使用されています。

マダニが原因で起きる病気がいくつか知られています。

  • 日本紅斑熱 マダニがリケッチアに感染していると、これにより発症します。西日本の発生が主ですが年間200件程度です。
  • 重症熱血小板減少症候群(SFTS) ウィルスに感染しているマダニに咬まれると発症します。西日本が多いですが、徐々に東日本にも侵入してきているようです。患者数は年間100名程度ですが、今後増加してくる可能性があります。
  • ライム病 マダニがスピロヘータという菌に感染していると、これにより発症します。寒い地方が多く、北海道が一番多いですが、新潟県でも年間1~2名が発症しています。
  • ダニ媒介性脳炎 ウィルスに感染したマダニによって、発症します。日本では北海道で、数名の感染がみられています。

 

いずれも、患者数がそれほど多いわけではありません。マダニに咬まれる人が多いことを考えると、発症率はきわめて少ないです。しかし、マダニに咬まれてから数日から数週間は発熱がみられないかの注意が必要です。発熱など症状があれば、医療機関を受診してください。

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